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物流連  物流革新セミナー

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2025年を荷主と取り組む年に

 日本物流団体連合会は1月29日、新年賀詞交換会に先立って「物流革新への取り組みと今度の展望」をテーマにセミナーを開催。物流事業者が1人1時間当たりの仕事量・運賃を向上するには荷主などとの連携・協働が欠かせないとして、講評した敬愛大学の根本敏則教授は「2025年を荷主と取り組む物流革新の年に」したいと述べた。
 セミナーは、国土交通省の鶴田浩久物流・自動車局長、ダイキン工業の磯田芳子物流本部業務部長、シジシージャパンの松本和隆氏の講演の後、根本氏が講評を行った。
  ■仕事量が2倍になれば人件費2兆円減
 鶴田氏は、物流を取り巻く状況や今後の展望(新モーダルシフトや物流拠点のあり方)を説明した後、適正運賃収受や物流効率化により1人1時間当たりの仕事量・運賃を向上させ、物流という社会インフラの持続的成長により国民生活の向上、地域・企業の競争力を強化することが重要であり、実現には荷主や物流事業者などの連携・協業が必要とした。
 具体例として、ドライバー1人あたりの仕事量が2倍になったと仮定すると、将来の必要ドライバー数は半分の43万人、人件費は2兆円以上(バス・タクシーを含めると年3兆円)少なくなる。「いつになるかわからないが、インパクトのあることなので、自動化・効率化を進めていく必要がある」と述べた。
 商用車EV化の効果も示した。現行化石燃料費は年2兆円だが、これを再エネのEVにすると年0・4兆円で済む計算になる。「車両やインフラの費用は支援を行うとして、ランニングコストが下がると事業性改善につながり、持続可能性を向上させる。(それを誘導する)政策を考えていきたい」とした。
  ■出荷に合わせて生産の順番を変更
 ダイキンの磯田氏は、メーカーとしてこれまで行った物流施策に言及。工場から全国の配送センターまでの長距離輸送はトラックの運行スケジュールに合わせることで待機時間を削減した、配送センターから顧客までは積み込み時間から逆算して出荷準備するようにした、発荷主として出荷に合わせて生産の順番を変え、締め切りの前倒しを営業に申し入れた、パレタイズ化するために製品の組み合わせを検討し、パレット単位で生産するようにした、物流事業者からはバラ積みの時にもらえなかった提案がもらえるようになったことなどを説明した。
 地域密着スーパーの集合体であるシジシージャパン(加盟201社4460店舗)は北海道の玉ねぎが不作だった際に、タスマニアから大量のロット買付を行うとともに、産地からの物流一元化によりコストを低減した例を示し、物流を見える化することの重要性を挙げた。
  ■Mシフトは現行施策のみでは力不足
 根本氏は、物流大綱の1次(97~2001)では荷主という言葉は8回のみだが、現行第7次(21~25)は48回出てくる、持続可能な物流の実現に向けた検討会では70回出てくることを挙げ、「荷主に規制をかけなければ改革は難しいことを表している」と見解。ダイキンの出荷に合わせて生産の順番を変えることは、まさに今後のCLO(物流統括管理者)の役割であること、今後10年程度で倍増する目標のモーダルシフトは「1800㌧増やさなければならず、現行の施策や補助金では力不足」とし、荷主の動きに歩調を合わせた形で進める必要があり、その意味で「2025年は荷主と取り組む物流革新の年にしたい」と結んだ。
                         2025.2.4
 

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