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消費者庁の意見交換会 無料の根拠示すべき

消費者庁の意見交換会 無料の根拠示すべき

労働条件改善するかは疑問

 消費者庁は、送料無料表示見直しに関する第9回意見交換会を8日に開き、消費者関係4団体からヒアリングを行った。送料無料表示見直し自体は必要だが、見直しにより労働条件を改善するための運賃転嫁が進むかには疑問を呈した。

 意見交換会は、これまでトラック業界、EC事業者などが送料無料表示見直しに対して賛否を明らかにしている。
第9回意見交換会
 今回、はじめに消費生活アドバイザー協会が消費者の声として「送料無料はありがたい」(60代女性)、「顧客サービスの一環と認識しており、送料無料の事業者を選ぶのは当然」(50代男性)などを紹介しつつ、「送料無料は消費者にとって魅力的だが、背景にある配送事業者の存在や、人件費などの必要性に思い至ることがなくなる。特に力の弱い立場への過度な圧力につながることを懸念する」と述べ、「運ぶことで発生する負荷を消費者が認識でき、意識の変更につなげるようにすべき」と提案した。
 主婦連合会は、「送料無料を表示するなら、誰が負担しているかを記すべき」とした上で、「消費者の行動変容は必要だが、それと運送会社の待遇改善は別問題、不当な契約、不当な賃金は社会のルールとして直していく必要がある」との考えを示した。

 日本消費者協会は、持続可能な物流実現検討会の委員でもある河野康子氏が「配送コストを無料と表示するなら、その根拠を説明する責任がある」「送料無料が無言の圧力になっていることに配慮を」「物流に協力するため消費行動で示すことはいろいろあり、価値観の転換時期にきている」としつつ、「表示見直しにより適正運賃への転嫁につなげるには無理がある」と見解。

 全国消費生活相談員協会も、「表示を見直すだけで労働環境にすぐに良くなるのは難しい」としつつ、「配送には相応の負担が必要であることを消費者に知ってもらうことが大事」だとして、行政には啓発キャンペーンを、物流事業者には物流の重要性について周知を、取引デジタルプラットフォーマーには送料についてわかりやすい説明を行うことを求めた。

2023.11.10

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