運輸新聞｜1920年創刊の物流・ロジスティクス・運輸・運送業界の専門紙

　建材設備大手のＹＫＫＡＰ（本社＝東京・千代田）は、首都圏エリアの住宅用商品の供給体制強化を目的に、埼玉県加須市に在庫型物流拠点「首都圏ＤＣ（ディストリビューションセンター）」を開設。首都圏に 在庫を置くこと で、トラックドライバーの夜間・長距離輸送の回数を削減、物流ＤＸ（デジタルトランスフォーメーション）・ロボティクス化と併せて、物流の２０２４年問題に向けた安定供給体制を構築させる。 　

　２日から稼働した首都圏ＤＣは、「ＥＳＲ加須ディストリビューションセンター２」の１階１万５０９４㎡、２階１万１１０８㎡を使用して設置。アイテム別や納期別など、細分化した需要予測に基づき適正在庫を管理し、リードタイムを確保するなどの物流ＤＸ導入とともに、構内作業においては、棚搬送型ロボットにより作業者のいる場所へロボットが在庫保管棚を運んでくるＧＴＰ（Goods To Person）システムで運用していくのが特徴。

　棚搬送型ロボットはeコマース向けの物流現場では広く採用されているが、同社商品の中でもねじや部品、パーツなど、小部品の荷物は出荷全体の約10％を占めていることからシステムを開発。作業員が定位置にいながら、ピッキングと１００方面のトラックの仕分けを一度に行うことができ、構内作業の省人・省力化を実現させた。設備投資額は２億円。
　素材や部品の開発・製造から加工・組み立てに至るまで、すべての工程を自社の製造拠点で一貫生産しているＹＫＫＡＰは、物流面においても、２０１６年度から配送効率を高める新型輸送パレットの開発に着手するとともに、トラックへの積み付け最適化システムも導入。荷物をパレット単位で運ぶユニットロードを進め、商品を全国各地の製造拠点の近くに設置したＤＣ、配送エリアの利便性のよい場所に設置した商品は在庫せず仕分け・荷捌きを行う通過型物流センターのＴＣ（トランスファーセンター）を通じて商品供給している。
　これまで首都圏エリアは、ＴＣが担っていた。
　今回のＤＣ開設で、トラックドライバーの夜間・長距離輸送の回数を削減するなど、２０２４年問題への対応を進めた。また、環境に配慮し、輸送距離が７００ｋｍ以上の輸送については、トラックから鉄道や船舶にモーダルシフトさせ、25年度のＣＯ２排出量は22年度比で30%削減せせる考えだ。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　２０２３．１０．３