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運総研シンポ タイの物流効率化

運総研シンポ タイの物流効率化

複線化、機能向上 鉄道の強化策が課題

 いち早く経済発展を遂げ「ASEANの優等生」といわれるタイだが、御多聞に漏れずモーダルシフトが大きな課題となっているようだ。

 運輸総合研究所アセアン・インド地域事務所(JTTRIーAIRO)は「タイにおける効率的な物流の構築を目指して」と題する物流シンポジウムを15日に開催。研究報告や基調講演で、トラックの依存度がトンベースで88・5%(日本は55・3%)を占め、鉄道は1・5%(同4・8%)に過ぎず、物流コストもGDPの13・8%と高く、鉄道の強化が重要であると強調された。

 タイは、アセアンのほぼ中央に位置し、南部はマレー半島まで伸びて海と接しているが、首都バンコクから北は内陸であり、貨物輸送は長距離も含めてトラックが中心。バンコクをはじめ、道路渋滞は激しく、鉄道の強化が重要となっている。

 しかし、タイ国鉄(SRT)に競争力がなく、複線区間もまだ13カ所と少なく、バンコクへの列車集中により遅延が多く発生、迂回路線の形成が課題となっている。

 GDPに占める物流コストは13・8%。うち保管コストが輸送コストと同水準。小売がバンコクに集中していること、鉄道の遅延が保管コストの上昇を招いていることが挙げられた。パネルディスカッションでは…
 パネルディスカッションでは、鉄道のハード・ソフトを含めたインフラ整備の必要性が指摘された。盤谷日本人商工会議所の床並運輸部会長は、港から内陸部への輸送について「鉄道は、貨物が集まらないと運べないのでいきおいトラックになっている」こと、タイ商工会議所物流サプライチェーン委員会のパーヌマ氏は「単線が多く時間が守られないので、鉄道を使いたくないと考える人が多い」と述べた。
 複線にすることや、トラックや船との結節、そのためにはインランドデポの機能向上も必要となる。
 東京大学大学院の柴崎氏は「SRTの競争力強化が必要。民営化や参入についての法制度も調査しているが、競争環境がつくられれば品質も良くなるし、民間にオペレーションを任せることも検討する必要がある」と述べた。
 JR貨物の和氣執行役員は「鉄道の認知度を上げることが重要。トラック65台分を運べるなど鉄道を使うメリットを理解してもらい、日本のエコレールマークのようにインセンティブを付けること」を提案するとともに、営業やオペレーションは通運が一括して行っている日本の事例も説明した。
 このほか、パーヌマ氏は「鉄道はラオスやカンボジアともつながっているが、水上輸送とどうつなげられるかも課題」だと述べた。

 

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