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排出量取引制度導入へ検討開始

排出量取引制度導入へ検討開始

公平性の担保が鍵を握る

 CO2の排出量取引制度を2027年度からトラック・国内航空・内航海運に導入するため、交通政策審議会環境部会は「排出枠の割当方式検討小委員会」を設置し、8月27日に初会合を開催。制度の対象となる事業者と非対象事業者との公平性を担保することが必要との意見が大勢を占め、非対象事業者への対策を検討する必要性が示された。
 制度の導入(排出枠の割当て)に当たり、小委員会は業種ごとの基準活動量、排出原単位、割当量の算定式などを検討する。
 排出枠の割当は、同業種内の上位企業の排出原単位をベンチマークとして設定、基準活動量(制度開始直前3カ年の活動量の平均)にベンチマークを乗じて割当量を算定する。上位企業の水準は毎年度段階的に引き下げる。
 ベンチマーク指標となる排出原単位は、分母を輸送量×輸送距離(輸送トンキロ)、分子を輸送プロセスにおいて発生するCO2排出量として算定する。
 先行対象となる企業はトラックの場合、省エネ法対象企業(車両保有200台以上)のうち10社ほどと想定される。
 初会合では全日本トラック協会、ヤマト運輸、NXホールディングス、定期航空協会がヒアリングに参加。幹線とラストワンマイルとでは原単位に違いがあること、大型車は電動化が困難で代替技術がなく、小型車は導入・ランニングコストが高いことなどから過度な負担にならないよう配慮が必要、排出削減努力が公平・公正に評価される仕組みとすることなどを要望した。
 公平性の担保については多くの委員からも指摘があり、特に当初の制度対象者が絞られることから、「運用していく上での点検が必要」「価格転嫁できる形になるよう、利用者の意識も変えていく必要がある」「傭車比率が上がる」「なるべく多い参加となる仕組みづくりが必要」などの意見が出された。
 モーダルシフトの活用も重要だとし、「ベンチマークの設定にモーダルシフトを除外しないこと」などの考えが示された。
 小委員会は月1回程度開催し、11月上旬をメドにベンチマーク指標案をまとめる予定としている。
                          2025.9.2

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